電車やバスに乗ると多くの人がスマートフォンに見入っている光景を目にします. スマートフォンを通してインターネットにつながり, 情報を得るだけでなく発信もできようになり, 社会の在り方も大きく変わりました. 例えば, 通勤の途中で買い忘れていた日用品をAmazonなどのECサイトで注文する, といったことが当たり前になりました.
社会の変化に合わせて, 企業や官公庁もインターネットを中心とした業務の進め方に変えていくためDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいます. DXを推進するためには, コンピュータ, ネットワーク, プログラミングに関する知識を持った人材, いわゆるIT人材が必要です.
しかし, IT人材は不足しており, 経済産業省は2030年には約80万人のIT人材が不足すると報告しています. IT人材不足に対応するため, 文部科学省は2020年度から小学校でのプログラミング教育を必須化し, 2025年1月に実施する大学入学共通テストからプログラミングなどを出題する「情報」が導入さる予定です. 10年後にはプログラミングなどできて当たり前, といった社会を目指しているのでしょう.
では, 学校教育でプログラミングに関する授業をすることで, プログラムを作れるようになるでしょうか? 中学・高校で英語の授業を受けましたが, 学校の授業だけで英語はバッチリ, という人はどれぐらいいるでしょうか? 英語の教師は, 英語の素養があり, 教えるために特別な訓練を受けていますが, それでもこの有様です. プログラミングを担当する教師はどうでしょう?
プログラミングに関して学校教育は当てにならないと, 多くの親御さんは直観的に分かっているので, 大手の学習塾ではプログラミング教室を開催しています. プログラミング教室に通わせるためには費用も掛かりますので, 費用に見合う成果を期待するでしょう. しかし, プログラミングに関する知識の無い親御さんが, どうすれば成果が得られたと判断できるのでしょうか?
プログラミング教室に通えば, 子どもが作ったというプログラムを見せてもらえるかもしれません. 一から十まで, 何も無いところから作り上げたのなら立派なものですが, プログラミング教室も時間が限られていますので, プログラムの全体的な枠組みを与え, 子どもは少し修正しただけかもしれません.
小学校でプログラミングを必須化した目的は, 論理的思考能力を身に付けることにあります. 論理的思考能力が身に付いたと判断できれば, プログラミング教室に通わせた価値があったと言えます. 論理的思考能力が身に付いたと判断するには, プログラミングが・・・, 元に戻ってしまいました.
つまり, プログラミングの経験の無い人でも, プログラムを作れている, 論理的思考能力が身に付いている, と判断できる方法が必要です. 判断方法の一つとして, ヒューマン・リソース・マシーンというプログラミング・パズルゲームが使えそうです.
ヒューマン・リソース・マシーンでは, ゲーム内で上司から与えられた課題を解決するためにコマンドを並べ, 主人公を操作します. この「コマンドを並べ」がプログラミングに相当します.
ヒューマン・リソース・マシーンで出される課題は, 「掛け算のしかた」や「素因数に分解せよ」などの簡潔なものばかりで, 「できた・できていない」を容易に判断できます. しかも, 使用できるコマンドの種類が少ないので簡単に覚えられます. このゲームでは, 論理的に考えることが求められます.
ヒューマン・リソース・マシーンは, SwitchやiOSなど様々なプラットフォームでリリースされています. また, 価格もSwitch版は1000円, iOS版は610円と安価であり, 手軽に始められます.
しかし, プログラミング経験の無い人が, ヒューマン・リソース・マシーンで出題される課題を解くためのアルゴリズムを考え出すのは大変だと思います. そこで, 課題を解決するための考え方を中心に説明していきます.
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